青春あまねく恋泥棒


「閑姫?」

「…ううん」


気付いたら涙が零れていた。


「なんでもない」

「なんでもなくないだろ」


怜弥くんは、カーディガンを萌え袖にして私の涙を拭いてくる。


「急にどうした?」

「なんでもないから、ほんとに。女の子ってふと泣いちゃうんだよ」

「嘘こけ」


彼は弁当箱を横に置いて、私を抱き締めてきた。


「泣いてるの見てたら、守りたくなった」


今だけだ、こんな優しくするのなんて。

手に入ったら、どうせ…釣った魚に餌はやらない。

それで、体の関係できないって分かったら、簡単に捨てるんだから。


「やめてよ…」


私は彼の肩を押し返した。

怜弥くんは、抱き締めてくるのをやめた。


「私は好きにならないよ?恋愛なんて、しない」

「なんでそんなこと言うんだよ」

「なんでも」


私の良さなんて無いから。せいぜい、少し胸が大きいだけ?

そこ目当てでしょ?


「怜弥くんは、私のどこが良くて告白してきたの?」

「友達と仲良く笑ってるの遠目で見てて、俺にもその笑顔向けてほしいなって思った」

「んなわけ」


綺麗事なんて聞きたくなかった。失笑してしまった。