青春あまねく恋泥棒


翌日、登校すると夏木くんは既に来ていて、机に突っ伏していた。


「どうしたんだよ怜弥ー。元気ないじゃん」

「振られた」

「は?振られた?」

「昨日告った。そしたら、自分とは釣り合わないから付き合えないって振られた」

「百発百中のお前が?いやまあ、理由は分からんでもないけど」


私のこと話してるー!!

そう思ってると、顔を上げた夏木くんと目が合う。


「閑姫。おはよ」


夏木くんが、気怠げな声で挨拶してくる。

し…閑姫?

名前呼び?

思わず固まってしまった。


「無視?」

「ああ…夏木くんおは…」

「怜弥って呼んで」

「え?」

「もう1回」

「…怜弥くん、おはよう」

「よくできました」


彼は満足そうに微笑む。周りにいた彼の友人たちは、不思議そうに顔を見合せている。

それと同時に、カースト上位の女子たちからの痛い視線を軽くいただきましたとさ。


昼休み。友達の恋南が、私の机にお弁当を持ってやってくる。


「ねえ、閑姫!朝の!!」

「朝の?」

「そうだよ、朝の!夏木とのやりとり!付き合ってるの?」

「まさかー」


あれだけのやりとりで、女子からの痛い視線もらうんだから、付き合うなんて無理だ…。