青春あまねく恋泥棒



でもなんで私…?


「返事はいつ返せる?」

「え…」

「今、聞きたい。できれば」

「今…?」


そんなの、言えるわけない。
私が夏木くんと付き合うなんて考えたことない。


「今だったら…ごめんなさい、かな」

「…なんで」

「だって、夏木くんだから」

「…は?」


怪訝な表情をされた。イケメンの怒り顔は少し怖いけど、ちゃんと言わなきゃいけない気がした。


「モテモテで、キラキラしてて、私が横にいるのは、釣り合わない。…だって私、めちゃくちゃ平凡だもん。よくいる女子高生だよ?」


表情を変えないまま夏木くんは聞いていた。


「平凡だろうが何だろうが、そのままの市宮が好きなんだよ。そんな卑下すんな」


好き好き言われて、照れてしまう。

でも仮に、私が平凡じゃなかったとしても。


「でも、私夏木くんのことよく知らないから…付き合うとかよく分からない、かな。ごめん」


こんなイケメン振るなんて。そうは思うけど。


「…そう。まあいいよ、これから好きにさせる」

「え…」

「俺、諦め悪いから」


真面目な顔でそう言ってきた。


「じゃあ、遅くなると悪いから。また明日」

「うん、バイバイ」