思わず涙が数粒零れてしまった。
「だからね、電話切るから、あとは2人で話してみな。もうムキにならないで夏木に想いぶつけてみなよ。じゃあね」
恋南が電話を切った。
スマホをストンと下ろす。
「私さ、去年の秋に付き合ってた先輩がいたんだ」
「うん」
「でもその人、浮気してた。胸デカイだけでヤレない女に用はないって言われた。その時思っちゃったんだよね、恋愛つまんないなって。心でもっと繋がりたかった。寂しい時傍にいてくれて、支え合って、楽しいこと共有できるような、ただ一緒にいて幸せだなぁって思える、そんな人と恋愛したいなって」
「うん」
「でもそれって綺麗事で、実際は恋愛って体の関係が主なんだなって思っちゃって。ああ恋愛ってつまんないって思っちゃった。だからもういいやって」
「そっか。話してくれてありがと。で…俺もそういう人間に見えるの?」
「今のところそうは思ってないけど、いずれそうなるのかなって」
「ほんとナメてんな…」
彼は髪をわさわさする。
「そんな信じられないなら、閑姫の親帰ってくるまで待って、許可貰うか?付き合わせてくださいって」
「いやいやいや」
「じゃあ今、言うから返事して」
すぅ…と息を吐いた。
「閑姫、幸せにして笑顔にする。付き合ってください」



