青春あまねく恋泥棒


怜弥くんは溜め息をついた。


その時、電話がかかってきた。

恋南だった。


「もしもし?」

「あ、閑姫?ごめん、夏木に住所教えたのあたし」

「恋南か…今来てる」

「遅かったかー、電話するの。ほんとごめん。でも、これだけは伝えたくて」

「何?」

「夏木は、水上先輩とは違うよ。トラウマだろうし、閑姫の恋愛観変えられた件だと思うけど、夏木のことは信じてほしい。あたしは、閑姫の友達としてそう言える」

「なんで?恋南は1番知ってるでしょ、すごい傷付いたんだよ、先輩のことで」

「うん、知ってるよ。でも、夏木は水上先輩じゃないし、夏木にこう言われたんだ、住所教えるの渋ってる時」

「何て?」

「過去に何があったのか知らないけど、俺は泣かせるんじゃなくて笑わせる。幸せにしたい。って」

「そんなの言葉ではなんとでも言えるよ」

「だけど、閑姫のいない所で、言うかなそれ」


悔しいけど黙ってしまった。わざわざ私のいない所で友達に言うか…?とは思った。


「だからあたし言ったんだ。閑姫のこと幸せにしてって。お願いだから、信じてあげて。過去に囚われすぎないで、夏木のこと正直な気持ちでぶつかってみたらどうかな」

「別に…私は…」

「ねえ閑姫。気持ち、隠してるだけだよね。あたし分かってるよ」