青春あまねく恋泥棒


自室でぼんやりと、窓の外眺めたり、勉強机に向かってみたり、横になってみたり、過ごしていた。

親は仕事が忙しいから、私がずっと家にいることは多分知らない。何も言ってこない。


10日ほど経った頃。

夕方、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。

部屋の窓から外を見ると、怜弥くんだった。


なんでまた…。

会いたくない。居留守しようかな。


もう一度ピンポーンと鳴る。

窓を開けることにした。


「怜弥くん」

「あ、閑姫。開けて」

「…会いたいわけないじゃん」


彼はむすりとした。


「俺は会いに来た。閑姫が好きで好きでたまらなくて、心配だから!」

「そんな大きい声で言わないでよ」


仕方ない。窓を閉めて、下に降りて玄関を開けた。


「はあ、やっと開けてくれた。外暑いよ」

「そう…」


リビングの冷房をつけて、ソファに並んで腰掛ける。

少し離れて座っても、近付いてくる。


「何しに来たの」

「様子見に来た」

「恋南とかでいいじゃん、そんなの」

「俺が行きたいって言って、住所聞いて来た」

「個人情報保護も何も無いな…」