青春あまねく恋泥棒



私は自分の傘を広げて、後ろを振り返ることなく帰路についた。

まったく…私、可愛くないな。

まだ怖いんだ。恋愛、本気で好きになるのが。

ああいう女子に絡まれるのも。

怜弥くんに、先輩みたいに裏切られるのも。


だったら、好きな人の幸せ願う方が良いかもね。

なんて思いながら、また胸の上あたりをぐじゅぐじゅ気分悪くさせて。


翌日。


「杏奈!なあお前さ、怜弥と浮気してるだろ!」

「え?してないよお」


朝から浮気だなんだと物騒?だった。


「昨日、別のクラスの奴が、怜弥とお前がキスしてるとこ見たって言ってたんだけど?」


私の心がズキンとした。

いや、関係ない。関係ないのに。


「ご、誤解だよお」


もう聞きたくない。

お似合いだって言ったじゃん。

知らない。私は知らない。


「閑姫。今日の昼、空模様微妙だなー」


普通に話しかけてくる怜弥くん。

…なんでよ、杏奈とキスしたくせに。


「閑姫」

「しばらく1人にさせて」

「いやあれ…杏奈が無理矢理してきただけだから…」


やっぱりキスしたんだ。

心がズキズキする。関係無いのに。