その日の帰り。昇降口に2人でいると、同じクラスのカースト上位女子の杏奈が現れる。
「え!怜弥今帰りなの!」
わざとらしく、杏奈が声をかけてくる。私のことなんて目に入ってないかのように。別にいいけど。
私は別に、怜弥くんの彼女でもなんでもない。
「塩崎、お前バイト?」
「そおそお、今日はバイトー」
「ふーん」
怜弥くんは興味無さそうにあしらっていた。
「ところでさー、今日傘あるー?」
「あるけど?」
「彼氏に傘貸しちゃって、無いんだよねー。駅まで入れてよ!」
彼氏いるんかい!
それでこの感じ…?
怖いわー。
そう思っていると、怜弥くんがこちらにふと目をやる。
「閑姫しか入れるつもりないから、他当たれよ」
「えっ、何で」
杏奈は少し面食らっていた。
「てかさ、市宮さんさ、怜弥のこと眼中ないんでしょ?それなのに媚売るのうざいよ?」
媚びてないし、彼氏いるのに怜弥くんにデレデレしてるあなたの方がヤバいと思いまーす。
「閑姫、帰ろ」
「はあ…別に私傘あるし、おふたり美男美女でお似合いだから相合傘でもして帰れば?」
「おい、ちょっと待てよ!」



