移動教室から教室へと戻る最中、紫の髪を横にシュシュでまとめた彼女は髪を揺らす。しかし、教科書と共に持っていたであろうプリントはひらひらと宙を舞い、廊下の床にゆっくり落ちていく。暗い青色の髪色をした男子高校生はそのプリントを手に取った。

チャイムがなるまではまだ少し時間があったことや2年生の教室はすぐそこだったので彼はプリントに記載された学年、クラス、名前を見て、2年生の教室に行き、「桐谷清麗さん居ますか」と、声をかけた。

「はい」
「あ、プリント。落としてたんで」
「あ…、探してたやつだ、すみません。ありがとうございます…」
「いえいえ。じゃあ」

彼女は、その男子の顔を見るなり、違和感を覚えた。