ピロン。
ふいに鳴った携帯に、目だけをやる。
『 棗 』
一瞬浮かび上がって、すぐに消えた通知欄。
目は無意識に、見開いていた。
だって、今日は晴れだから。
空と携帯を交互に見つめる。
「 なんで、」
逸る気持ちと震える手を抑え、カタ、とスマホを取った。
『 梓、さっき気づいたんだけど、だいぶ前に梓の家行ったときにコントローラー忘れてたみたい!もうほんとにだいぶ前だから、梓がそのまま使っちゃって。』
「 ………ああ、そういうこと。」
詰まっていた息を、ハア、と吐き出す。
そりゃ晴れの日に連絡が来るのも、納得だ。
「 …アズ?大丈夫?」
事の顛末を見守っていた郁巳が口を挟む。
俺は、当たり前、と少し見栄を張ってから一気に購買のパンを詰め込んだ。
