…天海さんは、シルバーが良く似合うな。


「 ふふ、変に大人をからかっちゃダメだよ。世の中には危ない人が多いから、きっと梓みたいに可愛い子は、すぐに食べられちゃう。」


「 ……天海さんこそ、言い寄られること多いでしょう。俺に構っていていいんです?」



多いって言ってもねえ…だから大丈夫、と頬杖をつきながら返されたけど、それに返事はしなかった。

特に意味はない。強いて言えば、なんとなく、とでも言おうか。
この場にはまたしばらく沈黙が訪れたけれど、気まずいなんて感じることもなかった。

「 …あ。」急に天海さんが、何かに気づいたように声を漏らし、何事かと其方を見る。



「 梓、高校生って言ってなかった?今日、学校は?」


「 ………あ~…、そう、いえば。」



そうだ。今日は平日だった。普通に学校がある日。
慌てて時計を見れば、短針は10を指している。

はは、遅刻ですね、と笑って言えば「 車で送るけど 」とサラッと言われ、つい目を剥いた。