ゲームもひとしきりやり、日が回ったところで急に眠気が襲う。特に要件もなく呼んだのに、なーに、と眠たげに答えてくれる優しいソイツを、俺はどうしようもなく愛していた。
どうしようもなく、だ。
俺ごと消えてしまわなければ、きっとこの想いは無くなってはくれないだろうと思うくらいに。
できるはずがないのにその想いを振り切るように、なんでもないよ、と間延びした声で言えばソイツは壊れ物に触れるかのような優しい声色で、そっかぁ、なんて言うのだ。
…本当にコイツのことをきれいさっぱり忘れられたらいいのに、なーんて今までと変わらず祈るしかない。
「 梓、今日はベッドか布団かどっちがいい?」
「 …あーごめん、今日は帰る。用事できた。」
「 珍しい。彼女でもできた?」
「 んーまあそんな感じかもな。」
スマホを見たままに何食わぬ顔で言ったけれど、ソイツ…棗からナチュラルに「彼女」というワードを出てきたのは辛かった。
だって当たり前のように言われたそれは、恋愛対象が女であっておれはその対象ではない、と突き付けているようだったから。そんな男の言う彼女…女という部分を否定したって、俺から離れていくというバッドエンドが容易に想像できてしまう。
