椎葉 棗に呪われたい


「 まあ、そうかもな。でも会えない距離じゃないし、大丈夫だろ。」



「 どこなの?新居。」



「 ああ、泉之駅(いずみのえき)の近く。高校に通える範囲だ。」



「 うーん…今までと比べたら遠いけど、気にするほどでもないか。また遊びに行ってもいい?」



「 汚くてもいいならね。」



ふっと笑ったあとに視線をスライドさせて、眩しいほどに輝く太陽に焦点を合わせた。

俺たちは親友。ただの友達。
……本当に、そうだろうか?片方が恋慕を抱いてしまっているのに?
俺は友情なんていう暖かい感情を持っていないのに。それは世間では友達なんて呼べるのだろうか。

ああ。俺が恋い慕う感情を無くせばいいだけなのか。
無くせ。
無理やりにでも。
無くせ。


やっぱり相手を見つければ、何かの手違いでこの感情も消えるかもしれない。