時が経つにつれて、棗は高校で友達ができたようで。
連絡がくる頻度も減ったし、こっちから送ることもなかったから、自然と疎遠になっていった。けど、おれは変わらず高校でも友人と呼べる存在は、一人を除いて無かったし、棗以外に心地いい存在をつくるつもりもなかった。

やっぱり高校同じにしとけばよかったかな、なんて未練たらしいと自分でも思う。


しかしそんな後悔をしたところで、時間というものは無情に過ぎていった。


チクタク、チクタク。

夏。
学校には行ったし、誰かに会えば愛想良く接した。
けれど、ふと虚無感に包まれたときから、学校以外に外出する機会は減っていった。

秋。
何をする気にもなれない。学校以外に外出することは全くなくなっていた。したのは、廃人のように家でオーバードーズと自慰を繰り返すくらい。

冬。
今度は、外で喧嘩をするようになった。
殴って殴られて、蹴って蹴られて、本当なら痛いはずなのに、気持ちが良かった。寒さを忘れて喧嘩ばかりすれば気分が晴れるような気がしたし、手についた血が色鮮やかで見惚れた。棗の血もこんななのかな、ってまた彼のことばっかり考えていた。



そして、春。
久しぶりに連絡がきた。もちろん相手は棗。
待ち遠しかったような、もう二度と会いたくなかったような、だけど。
結局は会う約束を取り付けてしまう自分が情けなかった。


連絡が来たその日は、雨。
会う約束をしたこの日も、雨。
雨。
雨。
雨。

ああ…頭がおかしくなってしまいそうだ。





___「 久しぶり。」