二人の未来

放課後、屋上。

レイは制服のリボンを風になびかせながら、フェンスによりかかっていた。
ハルが缶コーヒーを2本持ってくる。

「はい、ブラック。君にはこっち。ミルク3つの甘々バージョン」

「……よく覚えてんじゃん」

「僕の頭はいいからね」

「へぇ、それにしてはあんた、バカみたいに……」

「うん?」

「……あたしに優しいよ」

レイの声が、少しだけ震えていた。

「……あの時、ビンタしなきゃ、あんたとここにいなかったのかな」

ハルは静かに缶を開けた。

「違うよ。君が俺を選んでくれたから、ここにいるんだ」

「……うわ。今のちょっとだけ、ヤバい」

「どうヤバい?」

「好きが、バレるっつーの……」

「もうバレてるけど?」

「……だよな」

二人の笑い声が、夕陽に染まった屋上に溶けていった。