~恋の矯正、継続中~

生徒会掲示板の前で、真島レイは仁王立ちしていた。

「……ねえ、これ、あんたが貼ったの?」

「『校内恋愛禁止令』のことかい?」
倉科ハルは、ポケットからスティックのりを取り出し、ぴったりと貼り直した。

「今、誰がターゲットになってるか分かってる?」

「もちろん。生徒の模範として、身内の締めつけから始めるべきだと思ってね」

「ふっざけんな、メガネ野郎……」

レイはジト目でハルを睨みつけたが、口元だけは笑っていた。
彼女のその顔に、ハルは小さくため息をついた。

「でもまあ、君が“本当に好きになるかも”って言ったその日から、僕は校則を一部、黙認する方向に切り替えてる」

「なによそれ、ずりぃ……」

「恋って、法のグレーゾーンだと思わないか?」

レイは不意に吹き出した。

「なにそれ、カッコつけたつもり? まじウケるんだけど!」

「そう? ちょっとは照れると思ったんだけどな」