第三幕:距離が近づく

ハルは本当に毎朝、レイの家まで迎えに来た。

「遅刻癖の矯正も生徒会の仕事だ」

「いい迷惑なんだけど……」

だが、内心では――嫌じゃなかった。

学校帰り、ハルと二人で図書館に寄ることも増えた。からかうと、ハルは本を閉じて真顔になる。

「知識は人を裏切らない。けれど、人は……違うからな」

そう言う彼の横顔を見て、レイの胸が少し痛くなる。