side 三華 蓮
突然彼女は降ってきた。
二葉羽菜は、態勢を崩して階段から落ちそうになっていた。俺は、反射的に二葉羽菜を助けた。なぜ俺がこの行動に出たかは、自分でもわからない。でも・・・二葉羽菜に懐かしい感情を抱いていた。
俺には彼女がいるらしい。そいつの名前は・・・思い出せない。俺の親友、茜から聞いた話によると、俺はその彼女のことを「ハナ」と呼んでいたらしい。
俺が知っている名前に「ハナ」と入っている人物は一人。二葉羽菜…でもあいつも俺のこと知ってなさそうだから違うか・・・。
俺は茜にも彼女の写真を見せたことがないらしい。
早く思い出したい…ここ数日間俺はそのことを考えていた。あっという間に月曜日になってしまった。
はっ!そういえば、二葉羽菜は、一年B組だったよな… よし!行ってみるか。俺は朝早めに学校へ行った。
「一年B組…」ここか。一人の女生徒と目が合った。「あっ!三華さん!」二葉羽菜は満面の笑顔で、俺のところへ来た。
「先日は、ありがとうございました」二葉羽菜は松葉杖を使っていた。「お前…足そんなに痛むのか?」「少し痛むくらいで、全然平気です!」強がっているな。あらかさまに顔に出ている。「…自分のクラスに帰る」もうすぐ一年が登校してくる時間だ。
「さようなら」二葉羽菜は名残惜しそうにいった。どうかしたのか?なんか考えているのか?「私の足の様子を見に来たんですか?」えっ でも、図星だ。話題を変えた。多分俺は今顔を赤く染めている。
「お前、なんでこんなに早く来ているんだ?」二葉羽菜は、顔を赤く染めて言った。「えっと、三華さんに会いたくて」
っ!なんだこの気持ちは?名残惜しそうに笑った二葉羽菜は俺にお礼を言った。
「この間は、ありがとうございました」「ああ」俺は一年の教室を去った。
今日は、人生で一番いい日かもしれない。それから俺は、二葉羽菜のことしか考えられなくなっていた。もう思い出せないカノジョ
のことはいったん忘れよう。
俺の教室に戻ると、茜からいじられた。「お前、なんかいいことあったか?」まぁ・・・いいことはあったな。
「それがどうした?」「なんか・・・うれしそーな顔してたから」なっ!顔に出ていたか…
「お前の笑った顔すっごく久しぶりに見た気がするからさ…」茜はボソッと言葉を吐いた後に、はっ!とした顔をしていた。
「今度僕にも紹介してよ」は?こいつ・・・俺のことをからかいたいのか?
「お前に二葉羽菜は紹介しない」「え~何でよ!」「あっ!今名前言った!二葉羽菜ちゃんね!」
「今度、一年の子に聞いてみよ」「お前… 女癖が悪すぎるぞ」「え~そんなことないよ」
こいつ… 自覚がないのか?茜は簡単に言えば、女癖が悪い。いいほうに言えば、この校内で一番情報を持っているのは、
茜だろう。今度、二葉羽菜のことも聞いてみるか。
はっ!だめだ。茜に紹介したら、二葉羽菜にへらへら言い寄るだろう。
もし、二葉羽菜が茜に惚れたら、俺は立ち直れなくなりそうだ。は~俺はこんなにも二葉羽菜に惚れていたのか。
・・・いつか、俺が魔族ってことを二葉羽菜にも伝えなきゃな。
しかも、あの三光楼家の一人息子。それが俺だ。この学園では、俺が魔族で三光楼家の人間ってことは茜しか知らない。
俺は三華という偽名を使って、この学園生活を過ごしている。蓮っていうのは本当に俺の名前。
で、実は茜は俺の幼馴染で従者。この学園内では、親友ということにしている。
あとこの世の中、人間のふりをしている魔族もいる。
実際にこの学園にも、魔族は30パーセントくらいいる。気配でわかる。
特に、今年の一年の中には魔族が多いようだ。
この学園内で一番魔力が強い魔族は、自分で言うのもなんだが、俺だろう。
あと茜も一応魔族だ。俺の許可なしでは魔力を使えない状態になっている。
魔力を解放したら、茜は俺とまともに戦えるだろう。
一番厄介なのは、東雲家。 東雲家は、この学園の校長と理事長を出している家系であり、この世界を支えている五家の中の一つ。
一之宮家、双葉家、三光楼家、東雲家、あとほとんど表舞台に出ない五十嵐家。この中で一番の権力があるのは三光楼家ではあるが、実際に一番魔力が強いのは、双葉家だ。
双葉… そういえば、二葉羽菜の苗字は・・・フタバ。
でも、漢字が違うから… はっ!そういえば、ここは教室だった。「蓮、急に黙り込んじゃってどうしたの?」
もしかしたら、あり得るかもしれない。「茜、放課後生徒会長室に来い」「うん 分かった」
この時、俺はまだ二葉羽菜の本当の正体を知らなかった。
本当にあの時、俺は二葉羽菜を助けたほうがよかったのか?この選択が正しいと思いたいが、二葉羽菜のつらい過去に触れてしまったのなら、俺はやっぱり間違っていたのか?
<次回予告>
こんにちは!一華星璃です!私を溺愛する極上男子と記憶喪失の私を読んでいただいて幸いです!
さて!次回は、二葉羽菜ちゃんのイトコが出てきます!三華蓮くんが二葉羽菜ちゃんの過去に触れていきます!
皆さん、どうか最後まで楽しんでいただけたら幸いです。
突然彼女は降ってきた。
二葉羽菜は、態勢を崩して階段から落ちそうになっていた。俺は、反射的に二葉羽菜を助けた。なぜ俺がこの行動に出たかは、自分でもわからない。でも・・・二葉羽菜に懐かしい感情を抱いていた。
俺には彼女がいるらしい。そいつの名前は・・・思い出せない。俺の親友、茜から聞いた話によると、俺はその彼女のことを「ハナ」と呼んでいたらしい。
俺が知っている名前に「ハナ」と入っている人物は一人。二葉羽菜…でもあいつも俺のこと知ってなさそうだから違うか・・・。
俺は茜にも彼女の写真を見せたことがないらしい。
早く思い出したい…ここ数日間俺はそのことを考えていた。あっという間に月曜日になってしまった。
はっ!そういえば、二葉羽菜は、一年B組だったよな… よし!行ってみるか。俺は朝早めに学校へ行った。
「一年B組…」ここか。一人の女生徒と目が合った。「あっ!三華さん!」二葉羽菜は満面の笑顔で、俺のところへ来た。
「先日は、ありがとうございました」二葉羽菜は松葉杖を使っていた。「お前…足そんなに痛むのか?」「少し痛むくらいで、全然平気です!」強がっているな。あらかさまに顔に出ている。「…自分のクラスに帰る」もうすぐ一年が登校してくる時間だ。
「さようなら」二葉羽菜は名残惜しそうにいった。どうかしたのか?なんか考えているのか?「私の足の様子を見に来たんですか?」えっ でも、図星だ。話題を変えた。多分俺は今顔を赤く染めている。
「お前、なんでこんなに早く来ているんだ?」二葉羽菜は、顔を赤く染めて言った。「えっと、三華さんに会いたくて」
っ!なんだこの気持ちは?名残惜しそうに笑った二葉羽菜は俺にお礼を言った。
「この間は、ありがとうございました」「ああ」俺は一年の教室を去った。
今日は、人生で一番いい日かもしれない。それから俺は、二葉羽菜のことしか考えられなくなっていた。もう思い出せないカノジョ
のことはいったん忘れよう。
俺の教室に戻ると、茜からいじられた。「お前、なんかいいことあったか?」まぁ・・・いいことはあったな。
「それがどうした?」「なんか・・・うれしそーな顔してたから」なっ!顔に出ていたか…
「お前の笑った顔すっごく久しぶりに見た気がするからさ…」茜はボソッと言葉を吐いた後に、はっ!とした顔をしていた。
「今度僕にも紹介してよ」は?こいつ・・・俺のことをからかいたいのか?
「お前に二葉羽菜は紹介しない」「え~何でよ!」「あっ!今名前言った!二葉羽菜ちゃんね!」
「今度、一年の子に聞いてみよ」「お前… 女癖が悪すぎるぞ」「え~そんなことないよ」
こいつ… 自覚がないのか?茜は簡単に言えば、女癖が悪い。いいほうに言えば、この校内で一番情報を持っているのは、
茜だろう。今度、二葉羽菜のことも聞いてみるか。
はっ!だめだ。茜に紹介したら、二葉羽菜にへらへら言い寄るだろう。
もし、二葉羽菜が茜に惚れたら、俺は立ち直れなくなりそうだ。は~俺はこんなにも二葉羽菜に惚れていたのか。
・・・いつか、俺が魔族ってことを二葉羽菜にも伝えなきゃな。
しかも、あの三光楼家の一人息子。それが俺だ。この学園では、俺が魔族で三光楼家の人間ってことは茜しか知らない。
俺は三華という偽名を使って、この学園生活を過ごしている。蓮っていうのは本当に俺の名前。
で、実は茜は俺の幼馴染で従者。この学園内では、親友ということにしている。
あとこの世の中、人間のふりをしている魔族もいる。
実際にこの学園にも、魔族は30パーセントくらいいる。気配でわかる。
特に、今年の一年の中には魔族が多いようだ。
この学園内で一番魔力が強い魔族は、自分で言うのもなんだが、俺だろう。
あと茜も一応魔族だ。俺の許可なしでは魔力を使えない状態になっている。
魔力を解放したら、茜は俺とまともに戦えるだろう。
一番厄介なのは、東雲家。 東雲家は、この学園の校長と理事長を出している家系であり、この世界を支えている五家の中の一つ。
一之宮家、双葉家、三光楼家、東雲家、あとほとんど表舞台に出ない五十嵐家。この中で一番の権力があるのは三光楼家ではあるが、実際に一番魔力が強いのは、双葉家だ。
双葉… そういえば、二葉羽菜の苗字は・・・フタバ。
でも、漢字が違うから… はっ!そういえば、ここは教室だった。「蓮、急に黙り込んじゃってどうしたの?」
もしかしたら、あり得るかもしれない。「茜、放課後生徒会長室に来い」「うん 分かった」
この時、俺はまだ二葉羽菜の本当の正体を知らなかった。
本当にあの時、俺は二葉羽菜を助けたほうがよかったのか?この選択が正しいと思いたいが、二葉羽菜のつらい過去に触れてしまったのなら、俺はやっぱり間違っていたのか?
<次回予告>
こんにちは!一華星璃です!私を溺愛する極上男子と記憶喪失の私を読んでいただいて幸いです!
さて!次回は、二葉羽菜ちゃんのイトコが出てきます!三華蓮くんが二葉羽菜ちゃんの過去に触れていきます!
皆さん、どうか最後まで楽しんでいただけたら幸いです。

