心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~

「千湖はモテるからな」

「どういう…?」

「あんなの俺はしょっちゅうだけど。あれ普通じゃないのか?」

「そうですね…。専務はたまに媚薬も入れられますし」

あれが普通⁈
霧島さんの困った顏が彼の言ったことが本当だと物語ってる。

「だから千湖の作るおにぎりが俺の一番のご馳走!」

本人目の前に威張られても困る。
それもたかが“おにぎり”
陽翔と話してると彼の実体験が異次元過ぎて自分に起こったことへの恐怖感や不安が浄化されて行く。

「陽翔、ありがと」

隣で私の肩を抱いたままの彼を見上げると優しく見つめ返してくる。

「だから俺が守るって言っただろ?」

確かに…言ってた。
それは2年前のことを知っててかと思ってたけど実は…

「もしかして、こうなりそうなのを陽翔は気付いてたの?」

最初にこの相談室に来た時から時間が許す限りここに来てた気がする。

「まあね。この花…」

床に転がったお菓子と一緒に添えられていたスノードロップの花を見つめる。

「スノードロップはイギリスでは喜ばれない花。花言葉が“あなたの死を望みます”普通そんなの贈り物にはしない」

良い意味だと“希望と慰め”だけどイギリスではスノードロップは《死の象徴》らしい。

「じいさんが知らずにばあさんに贈って離婚になりかけたくらいだからな」

陽翔は最初から怪しんでたんだ。
彼のイギリス人のご先祖様にも助けられた気分。