ーコンコン
「グロスが付いてる」と言う前に部屋がノックされた。
「どうぞお入り下さい!陽翔、口」
指先を自分の唇に近付けて意味を知らせる。
そんな艶やかな唇で外に出られても困るし!
どれだけの人が妖艶さに倒れるか分かんない。
「あぁ。じゃあ、」
指先でグロスを軽く拭って口角をあげるから私の顏が熱くなる。
「先生?…大丈夫ですか?」
眼鏡のブリッジ部分を押しあげて熱くなる頬を隠すように次の社員さんを招きいれた。
「大丈夫です!」
(仕事!仕事!)
扉を閉める時の陽翔の視線が気になったけど今は相談者に集中!
「それなら良いですけど…」
この男性は最近相談にくる人で総務課の人。
簡単な質問用紙の名前はずっと空欄のままだけど敢えて聞いてない。
本音と言うのか根本的なことが聞けるなら名前なんて私にはどうでも良い。
「最近はどうですか?」
最初ここに来た時は目の下にくまがあり髪や服装が乱れて挙動不審ではあったけど今は薄れてる。
彼の中で心境の変化が何かあったように思える。
「先生のおかげで少しは眠れるようになりました」
前回の記録だと仕事への不安と人に対する裏切りを憎んでる傾向があった。
私は心を聞いてあげるのみで治療は出来ない。
まず眠れるようになれば第一段階クリア。
眠れないと思考や認知能力が落ちて判断ができなくなる。
それが一番怖い。
「それは良かったです。いつでも話を聞くので溜め込まないで下さいね」
「はい。ありがとうございます。それで、これなんですが、」
小さな花束とクッキーを私に手渡して来る。
「貰ってもらえないですか…」
マリーゴールドもこの人が持って来た物。
前回も実は仕方なくで貰ったのに今度はクッキーまで…
プレゼントとかお礼は貰ってないから困る。
「そう、ですね…特別なことをしてるわけではないので」
やんわりと優しく遠まわしにお断りをする。
「グロスが付いてる」と言う前に部屋がノックされた。
「どうぞお入り下さい!陽翔、口」
指先を自分の唇に近付けて意味を知らせる。
そんな艶やかな唇で外に出られても困るし!
どれだけの人が妖艶さに倒れるか分かんない。
「あぁ。じゃあ、」
指先でグロスを軽く拭って口角をあげるから私の顏が熱くなる。
「先生?…大丈夫ですか?」
眼鏡のブリッジ部分を押しあげて熱くなる頬を隠すように次の社員さんを招きいれた。
「大丈夫です!」
(仕事!仕事!)
扉を閉める時の陽翔の視線が気になったけど今は相談者に集中!
「それなら良いですけど…」
この男性は最近相談にくる人で総務課の人。
簡単な質問用紙の名前はずっと空欄のままだけど敢えて聞いてない。
本音と言うのか根本的なことが聞けるなら名前なんて私にはどうでも良い。
「最近はどうですか?」
最初ここに来た時は目の下にくまがあり髪や服装が乱れて挙動不審ではあったけど今は薄れてる。
彼の中で心境の変化が何かあったように思える。
「先生のおかげで少しは眠れるようになりました」
前回の記録だと仕事への不安と人に対する裏切りを憎んでる傾向があった。
私は心を聞いてあげるのみで治療は出来ない。
まず眠れるようになれば第一段階クリア。
眠れないと思考や認知能力が落ちて判断ができなくなる。
それが一番怖い。
「それは良かったです。いつでも話を聞くので溜め込まないで下さいね」
「はい。ありがとうございます。それで、これなんですが、」
小さな花束とクッキーを私に手渡して来る。
「貰ってもらえないですか…」
マリーゴールドもこの人が持って来た物。
前回も実は仕方なくで貰ったのに今度はクッキーまで…
プレゼントとかお礼は貰ってないから困る。
「そう、ですね…特別なことをしてるわけではないので」
やんわりと優しく遠まわしにお断りをする。



