「珍しいというか、俺は部長の安眠を邪魔しないようにしていたんですよ〜」
ふわぁー、効果音付きのあくびをする西山君。首や肩を回して疲労をアピール、部長の居眠りを痛烈に批判した。
これには部長も笑顔を引っ込め、苦言を呈す。
「デカい図体のうえデカい態度! いつまでも見逃されると思うな? 先だって取引先からミスを指摘されたぞ。僕が謝罪して丸く収まったからいいものの、注意散漫になっていないか?」
「あれは、だって」
ネクタイを緩め、トホホとばかり背を丸くする態度は反省しているように映らない。
「だって、じゃないでしょう? その件、私は聞いてないけれど?」
すぐさま私は彼の袖を引っ張る。
「主任の耳に入れなくともなんとかなるからです。主任は誰かさんと違って、お忙しいですし」
遠慮がちに手を払う際、そっと爪へ触れた気がした。あぁ、ネイルが少し剥げかけている。
小佐田部長と西山君が犬猿の仲であるのは周知の事実。会社役員のご息女を奥さんにした部長は強力な後ろ盾を持ち、若いというだけで西山君を昇進をさせない。
若いと言えど西野君は31歳、わたしと2つしか変わらないのに。
シンデレラカンパニーの風通しの良い社風が内外に知られ、実力を正しく評価する事を大切にする。
ところが蓋を開けてみればこの有様。私は女性であるという理由で未経験ながら営業主任に抜擢、さながらシンデレラストーリーに仕立てられた。
一方、西山君は圧倒的な成績をあげつつ出世の階段を登れない。
ふわぁー、効果音付きのあくびをする西山君。首や肩を回して疲労をアピール、部長の居眠りを痛烈に批判した。
これには部長も笑顔を引っ込め、苦言を呈す。
「デカい図体のうえデカい態度! いつまでも見逃されると思うな? 先だって取引先からミスを指摘されたぞ。僕が謝罪して丸く収まったからいいものの、注意散漫になっていないか?」
「あれは、だって」
ネクタイを緩め、トホホとばかり背を丸くする態度は反省しているように映らない。
「だって、じゃないでしょう? その件、私は聞いてないけれど?」
すぐさま私は彼の袖を引っ張る。
「主任の耳に入れなくともなんとかなるからです。主任は誰かさんと違って、お忙しいですし」
遠慮がちに手を払う際、そっと爪へ触れた気がした。あぁ、ネイルが少し剥げかけている。
小佐田部長と西山君が犬猿の仲であるのは周知の事実。会社役員のご息女を奥さんにした部長は強力な後ろ盾を持ち、若いというだけで西山君を昇進をさせない。
若いと言えど西野君は31歳、わたしと2つしか変わらないのに。
シンデレラカンパニーの風通しの良い社風が内外に知られ、実力を正しく評価する事を大切にする。
ところが蓋を開けてみればこの有様。私は女性であるという理由で未経験ながら営業主任に抜擢、さながらシンデレラストーリーに仕立てられた。
一方、西山君は圧倒的な成績をあげつつ出世の階段を登れない。

