副社長がふとみんなを見渡したあと、視線が私とぶつかった。そのままじっと見つめられ、どきりとする。彼の瞳が少し柔らかくなり、その優しい眼差しに、思わず目を逸らせなくなった。
「お米の甘さと、桜の香りが口から鼻へと通り抜ける。雪みたいに、すーっと口の中で溶けて消える。食べると、無意識に笑顔になれる……、そんな、温かいお米だ」
あれ? それって……、昨日、私が言った感想じゃ……?
「そうです、それです!」
『さすが副社長!』
「それそれ!」
ざわっと場が湧き、思わず戸惑う。
なんだ、みんなも同じように感じていたんだ……。
「いや、これは俺の言葉じゃない。昨日、空月が話してくれた感想だよ。まさに俺だけでなく、ここにいるみんなの気持ちを、的確に表現してくれていた」
副社長がそう言うと、全員の視線が一斉にこちらに向いた。注目されるのは、正直……、苦手だ。じわりと顔が熱くなる。できれば目立たなく、静かにしていたいタイプなのに。
この空気に居心地の悪さを感じている。
「すごい感性! 空月さんならぴったりだわ。きっと素敵な米袋のデザインになりますよ」
広報の女性が、ぱっと空気を変えるように微笑みながら言ってくれた。その笑顔に、少しだけ救われた気がした。
「あっ、そうだ。説明文、こんなのはどうでしょう?」
『雪深い山あいの秘境で育まれた、ふっくら甘い一粒。桜の香りがふわりと鼻に抜け、雪のようにふんわり口どけて消えていく。知らぬ間に、心まで温かくなる。──それが『雪花姫』です』
その瞬間、目の前にイメージがぱあっと広がっていった。
うわあ……、見えてきた。
さらに、もうひとつのイメージまで……。
なんだろう、この感じ。ワクワクして、胸が躍る。
私にも、できるかもしれない。
広報さんの言葉で、そんな気がしてきた。
(……、でも、私の感性より、あなたの感性の方が、ずっとすごいです)
心の中でそう呟いて、ふっと笑みがこぼれた。
「お米の甘さと、桜の香りが口から鼻へと通り抜ける。雪みたいに、すーっと口の中で溶けて消える。食べると、無意識に笑顔になれる……、そんな、温かいお米だ」
あれ? それって……、昨日、私が言った感想じゃ……?
「そうです、それです!」
『さすが副社長!』
「それそれ!」
ざわっと場が湧き、思わず戸惑う。
なんだ、みんなも同じように感じていたんだ……。
「いや、これは俺の言葉じゃない。昨日、空月が話してくれた感想だよ。まさに俺だけでなく、ここにいるみんなの気持ちを、的確に表現してくれていた」
副社長がそう言うと、全員の視線が一斉にこちらに向いた。注目されるのは、正直……、苦手だ。じわりと顔が熱くなる。できれば目立たなく、静かにしていたいタイプなのに。
この空気に居心地の悪さを感じている。
「すごい感性! 空月さんならぴったりだわ。きっと素敵な米袋のデザインになりますよ」
広報の女性が、ぱっと空気を変えるように微笑みながら言ってくれた。その笑顔に、少しだけ救われた気がした。
「あっ、そうだ。説明文、こんなのはどうでしょう?」
『雪深い山あいの秘境で育まれた、ふっくら甘い一粒。桜の香りがふわりと鼻に抜け、雪のようにふんわり口どけて消えていく。知らぬ間に、心まで温かくなる。──それが『雪花姫』です』
その瞬間、目の前にイメージがぱあっと広がっていった。
うわあ……、見えてきた。
さらに、もうひとつのイメージまで……。
なんだろう、この感じ。ワクワクして、胸が躍る。
私にも、できるかもしれない。
広報さんの言葉で、そんな気がしてきた。
(……、でも、私の感性より、あなたの感性の方が、ずっとすごいです)
心の中でそう呟いて、ふっと笑みがこぼれた。



