知らなかった。熊男のこと、なにも。
それなのに『仕事』という言葉と、彼の褒め言葉にのせられて……、のこのことついて来た私は今、伊乃国屋コーポレーションの自社ビル、副社長室にいる。
椅子に腰を下ろし、いただいた名刺を何度も見直す。
えーっと……、熊男の名前は烏丸悠士で、副社長──⁉︎
……、見た感じ、三十代後半……、くらい?
っていうか、ほんとに副社長?
……、えっ? 私、騙されてる?
詐欺……、とかじゃないよね?
だって、あのガサツで口の悪い熊男だよ? 信じられるわけない!
「何、警戒してんだよ。仕事の話をするから、聞きながらさっさとこの書類に目を通して記入しろ」
……、ゲッ。感が鋭い……、さすが熊男、もとい烏丸副社長。
入社に必要な書類に記入しながら、彼の話に耳を傾ける。
まずは簡単な会社の説明から。
それに続いて、彼──副社長である烏丸悠士が担当している極秘プロジェクトについて話し始めた。
それは、高級スーパー『伊乃国屋』で販売する、自社ブランドのお米。どうやら私は、そのお米のパッケージ袋と、贈呈用の桐箱のデザインを任されるらしい。
詳しいことは、明日出社したときに教えてくれるみたい。
記入を終えた書類を、彼が秘書の男性に手渡す。そのあと、何かを小声で指示しているようだけれど、私のところまでは聞こえない。
それなのに『仕事』という言葉と、彼の褒め言葉にのせられて……、のこのことついて来た私は今、伊乃国屋コーポレーションの自社ビル、副社長室にいる。
椅子に腰を下ろし、いただいた名刺を何度も見直す。
えーっと……、熊男の名前は烏丸悠士で、副社長──⁉︎
……、見た感じ、三十代後半……、くらい?
っていうか、ほんとに副社長?
……、えっ? 私、騙されてる?
詐欺……、とかじゃないよね?
だって、あのガサツで口の悪い熊男だよ? 信じられるわけない!
「何、警戒してんだよ。仕事の話をするから、聞きながらさっさとこの書類に目を通して記入しろ」
……、ゲッ。感が鋭い……、さすが熊男、もとい烏丸副社長。
入社に必要な書類に記入しながら、彼の話に耳を傾ける。
まずは簡単な会社の説明から。
それに続いて、彼──副社長である烏丸悠士が担当している極秘プロジェクトについて話し始めた。
それは、高級スーパー『伊乃国屋』で販売する、自社ブランドのお米。どうやら私は、そのお米のパッケージ袋と、贈呈用の桐箱のデザインを任されるらしい。
詳しいことは、明日出社したときに教えてくれるみたい。
記入を終えた書類を、彼が秘書の男性に手渡す。そのあと、何かを小声で指示しているようだけれど、私のところまでは聞こえない。



