母校のピアサポーターとして、オメガの子たちの相談を受け持つことになったわたし。

 教室に集まった中学生の子たちは、みんなどこか期待の眼差しを向けてくれていた。



「初めまして。一条(いちじょう)あやめです。これから一年間、皆さんの担当になります。聞きたいことがあれば何でも言ってくださいね」



 一番前に座っていた女の子が、さっと手を挙げた。



「一条さんには、(つがい)がいるんですか?」

「……はい。います」



 この子たちに信頼してもらうには、まずは自分から話さなくちゃ。



「わたしは、護見合いで番と出会いました」



 五年前。里春(さとはる)さんとの出会いについて、わたしは語り始めた。