「……」

クラリスの口から語られる真実に、オスカーは何も言えなくなる。

「……ねぇ、オスカー。オスカーに、頼みがあるの……魔女狩り集団の壊滅を手伝ってほしいの。もちろん、タダでとは言わないわ。壊滅したら、この魔法石をオスカーに返してあげるわ」

クラリスの言葉に、オスカーは考えた。

「……その、魔法石とやらを今返せ。そして、僕に魔法を教えろ……そしたら、魔女狩り集団の壊滅を手伝ってやる」

「先程言ったはずよ?魔女狩りからオスカーを守るために、魔法石に魔力をすべて封印した、と……魔力を持っていると、魔女狩り集団に狙われるから」

「んなこと、分かった上で言っているんだ。僕は、もう子どもじゃない」

真剣な目を、オスカーはクラリスに向ける。その表情を見て、クラリスは「分かったわ」と息を吐き出した。

クラリスは、宝箱を開けると小さな魔法石を取り出した。

「これを割れば、魔力が戻るわ」

魔法石をオスカーに手渡して、クラリスは言う。躊躇うことなく、オスカーは魔法石を砕いた。

(僕の母親の命を奪ったことを、後悔させてやる)

オスカーとクラリスによる、魔女狩り集団の壊滅作戦が、幕を開けようとしている。

ずっとその様子を見ているだけしか出来ないレオは、ただオスカーが無事でいれるように祈ることしか出来なかった。