左利き探偵と魔法使い

「……先、生……?一体、何を……」

「あら?彼は?」

「……僕の助手のレオだ」

「あら、そう。私は、クラリス。オスカーの幼なじみで、オスカーの宝物を奪った者……それでいて、魔法使いなの」

「は?」

「え?」

オスカーとレオは、同時に声を出す。

「ここじゃ話せないわ。場所を移動しましょう」

クラリスが指を鳴らすと、一瞬にしてオスカーたちの見ていた景色が変わる。

今、オスカーたちはどこかの小屋の中にいた。机の上には本が積まれており、部屋を見渡せば、本だらけだ。

「……俺ら、公園にいました……よね?」

「魔法で移動したのよ。ここは、私の家。安心して。ここなら、誰にも見つからないわ」

クラリスは、杖を壁に立てかけながら言う。それを見ながら、オスカーはようやくクラリスに向けていた銃を降ろした。

「……おい、クラリス。話せ……知っていることは、全部」

「ええ、もちろん……そのつもりで、私は左利き探偵さんに近付いたのよ」

そう言いながら、クラリスは小さな宝箱を取り出す。

「……この中に、オスカーの宝物が入っているわ。幼い頃、突然姿を消した母親からの贈り物が……」

「ッ!!」

その言葉に、オスカーは再び銃をクラリスに向けた。

「なぜ、それをお前が知っている。誰にも言ったことは……」