左利き探偵と魔法使い




「……やっと見つけた」

町外れにある公園には、誰もいない穴場がある。そこには、オスカーと、オスカーが追いかけていた女性がいた。

「お前だろう?怪盗クラリス」

「……あら?どうして分かったのかしら?」

クラリスと呼ばれた女性の服装が、一瞬にして変わる。Tシャツに長ズボン、帽子と楽な格好をしていた女性は、いつの間にかクラシックロリータを身にまとっていた。

風が吹いて、クラリスの銀髪が揺れる。

右手には、女性――クラリスの身長よりも長い杖がある。

オスカーは隠し持っていた銃を、クラリスに向けた。いつもよりも無表情なオスカーの目に、怒りが宿る。

「……お前が、僕を『左利き探偵』って呼んだからな。僕のことをそう呼ぶのは、お前しかいない」

「そうなの?それは、意外だわ」

銃を向けられているにも関わらず、クラリスは怪しげに笑う。まるで、この状況を楽しんでいるかのようだ。

「早く、僕の宝物を返してくれ。母の形見だ」

「それは無理だわ。返したら、あなたに危険が及ぶもの」

「……どういうことだ?」

「それは、自分で考えてちょうだい。ね?探偵さん?」

そんな会話をしていると、ガサリと茂みの揺れる音がする。茂みから出てきたのは、レオだった。