雪はやんで、いよいよスケートショーの時間。
 国中の人々が泉をぐるっと囲んでいます。

「アリシアー! 頑張って!」

 もちろんティナもいて、大きな声で応援します。
 泉の真ん中に立ったアリシアは、曲に合わせて動き始めました。

 くるりとターン。片足を高く上げて滑って、しゃがんでスピン。
 しゃっと氷が削れるほど力強いステップ。そしてぐんぐんとスピードを上げます。

(もうすぐジャンプだ……!)

 アリシアだけでなく、ティナも、みんなも。アリシアが飛ぶことを願っています。

 ぐっとふみこんで――ジャンプ!
 アリシアの両足が氷から離れました。
 クルクルと2回も回って、着氷。

「やった!」

 アリシアの顔が、ぱあっと明るい笑顔になりました。とてもすてきな“表情”です。
 この調子でもう一度ジャンプ! さっきまで1回も飛べなかったとは思えない、きれいな連続ジャンプ!

「すごい!」

 最後にぐるぐるとすばやいスピンをしてから、アリシアはビシッとポーズを決めました。ぱちぱちっと、みんなの拍手がなりやみません。

「ありがとうございました……!」

 深く、何度も礼をしたアリシアがティナの方を見ました。

「やったね!」

 ティナがピースをして見せると、アリシアもうれしそうにピースをします。
 まぶしいキラキラの笑顔は、衣装のスパンコールよりも輝いていました。