「あっ、わかった! “ひょうじょう”!」

「うん、正解!」

 お友達作りに大切なのは、明るい“表情”。
 スケートは氷の上……“氷上”でするスポーツです。

「いつも通りの笑顔でなら、きっと滑れるよ!」

「……わかった、がんばる!」

「いくよ? いち、にー、いち、にー」

 ふらっとなっても、もう1回。
 するとだんだんなれてきて、すいーっと進めるようになりました!

「すごい! ティナ、滑れてるよ!」

 アリシアが手を離しても、1人でちゃんと滑ることができました。
 さっきまであんなに怖がっていたのに、もう平気。ティナはすいすいすいーっと簡単に滑ります。

「よーし、いくぞ!」

 調子にのったティナは、気合を入れてぐんぐんスピードを上げました。
 そして――

「えいっ!」

 いきおいよく氷をけって、ジャンプ!

「うそっ!?」

 ふわりとうかんだティナを見て、アリシアは青い目を丸くしています。
 ティナはくるりと1回転してから――

「――きゃあっ、いたい!」

 ドテッと、地面にしりもちをつきました。

「大丈夫!?」

「えへへ、ジャンプってむずかしいね」

 あわててティナにかけよったアリシアは、ふしぎそうな顔をします。

「どうしてジャンプをしようと思ったの?」

「チャレンジしてみたかったから!」

 打ったおしりをさすりながら、ティナはにこっと笑います。

「怖くなかったの?」

「やってみたいって気持ちの方が強かったかな!」

「やってみたら、アリシアの気持ちがわかるかと思って! それに……ジャンプできたらすてきだなって、わくわくしたから!」

 やってみたいと思ったらすぐにやる、それがティナでした。
 そう、怖いよりもわくわくが勝ったのです。 
 言ってからティナははっとしました。

「ねえアリシア。もしかして勇気って……わくわくする気持ちなんじゃないかな?」

「そうかも。私も、もっとわくわくすればいいのかな?」

 心の中をわくわくでいっぱいにすれば、怖いきもちなんて吹き飛んで、ジャンプができるかもしれません。

「とってもいいアイデア! 明日やってみるわ!」

 アリシアの顔はもうわくわくしています。
 この調子なら本当に飛べてしまいそう。明日の練習がますます楽しみになりました。