シャーッと氷のけずれる音が響きます。
 アリシアの通った後にはふわりと氷の粒が浮かび、キラキラと光りました。
 今日のアリシアは雪祭りでおどる曲で練習中。
 くるくるとスピンをして、ステップを踏んだら、いよいよジャンプです。

 アリシアはぐんぐんとスピードを上げます。
 音楽に合わせてぐっとふみこんで――ジャンプ! ……は、やっぱりできません。

「はぁ、ダメだわ」

 ティナのそばまで滑ってきて、アリシアは大きなため息。

「でも、ダンスやスピンもすっごくかっこいいよ! あこがれちゃう!」

「ならティナもやってみる?」

「え! わたしにできるかな?」

 できるかどうかはわからないけど……もちろんやってみたい!
 アリシアはティナにスケートシューズをはかせると、ギュッとひもを結んでくれました。

「きっとできるわ。立てる?」

 アリシアに引っ張ってもらうと、立ち上がることができました!
 氷の上にのると、つるっとすべりました。あぶないあぶない。

「いーい? 足を外に向けて開いて、ちょっとずつななめにけるの」

「こ、こう?」

「そう、いち、にー、いち、にー」

 アリシアに支えられながら、ティナは少しずつ足を動かします。
 ちょこちょこ動きますが、なかなか前に進めません。

「うーん、進めないよー」

「その調子だよ!」

 アリシアはそう言いますが、全然滑れる気がしません。
 思うようにいかなくてティナが困っていると、アリシアはクスリと笑いました。

「ねえティナ。友達作りにもスケートにも大事なものってなーんだ?」

「ええー? なぞなぞ?」

「そう。意味が違うけど、同じ読みの言葉だよ」

 ティナはちょこちょこと足を動かしながら、頭も動かして考えます。

 友達作りといえば、ティナは笑顔みたいな明るい表情を大切にしています。
 スケートに大事なものと言えば、やっぱりジャンプでしょうか。だけどジャンプのないアリシアのショーも素敵です。
 なら、くつについたキラキラの刃でしょうか? それとも、氷?
 そういえば、アリシアは氷の上のことを何と言っていましたっけ……。