「ねぇ、春風って知ってる?」
恐る恐る聞いてみたの。
だって話すの久しぶりで。
だから、もしかしたら、
知らないって突き飛ばされるかなって思ってた。
「どこで聞いたの。」
質問に質問で返された。
ということは、お姉ちゃんは春風を知っている。
「友達ちゅうか、噂で聞いたと。」
家だから、つい気が緩む。
博多弁は学校では話さないから。
馬鹿にされるのも、同情されるのも嫌だから。
けれど私が博多弁を使ったとき
お姉ちゃんはまたギュッと眉を寄せた。
「博多弁、あんたまだ使うんだ。」
あっちにいた時をあまり思い出したくないらしい
お姉ちゃんは、私が博多弁を使うと嫌そうだ。
「ごめん。」
でも、優しいの。
「春風ね。知ってる。
おやすみ。
そんなこと考えずにはやく寝て。」
私のことを思ってくれてるんだよねきっと。
でも、気になるものは気になる。
ただの春に吹く風じゃないのなら、
ましてや、それが見えるものなら。
「教えてくれんと?危なかけん?
うち、そげん頼らんと?」
「そーそ。危ないから。」
いつものように、適当に返される。
これは絶対教えてくれないやつ。
友達にでも、聞いてみよう。



