彼女は立ち上がって、教室の中心にいる男子の集団に声をかけた。

50秒ほど立って、彼女と背の高い男子がひとり、こちらに歩いてくる。


少し着崩した詰襟。

ミルクティーカラーの髪。

黄色みがかったキリッとした瞳。

そして、どこかクールな表情。


背が高くて、すらっとしてて、

本当、立ってるだけなのに綺麗。


この人が、灰田桃李くん…


「はい。お望みの灰田だよ」

「…あぁ、ありがと聡美」

「じゃあ」


彼女はそう言い残して、自分の友達のもとへ向かっていった。