「灰田くん…って誰?」 「灰田桃李、私のクラスの王子だよ。陸上部のエースで、中学のときに短距離で日本記録出したことあるんだって」 「えーすごいね!写真とかない?」 「あるよ。写り込みなんだけど、全身写ってたと思うからちょっと待って ……あ、あったあった。こんな感じの子だよ」 保住ちゃんがスマホを差し出す。 私はそれを覗き込んだ。