奥さまが恋に落ちるまで

「うん」
「でも、今の話の流れだと⋯⋯」
「違うって。男同士のほうがいいと言っても、それはあくまで友達としての話で、男相手に反応したことはないよ。ただ、現実の女の子のキャーキャーうるさいところがどうしても苦手で、ずっと理想の女性に出会えなかっただけ」
「ずいぶん理想が高いのねぇ」
「まあね。それがまさか、お見合いで理想の女性と出会えるなんて思わなかった」
「え⋯⋯？」
「前から言ってるじゃない。桜子さんは僕の理想の女性だって」
「聞いてない！理想だなんて言われてないわよ！」
「まあ、それを言うのはいつも⋯⋯行為の最中だったから、ちゃんと聞いてなかったんじゃない？それに、新婚気分を楽しむ間もなく子供中心の生活になったし、男と女というより、パパとママになってしまうのは自然のことかもね。特に日本では」
「あのね⋯⋯私、自分でもどうかしてると思うんだけど」
「ん？」