「そうかな。ずっと変わらない人のほうが多いんじゃない?」
「それはそれでいいのよ。幸せって、恋愛とか結婚が全てじゃないもの。同性しか好きになれなくても、恋愛に興味がなくても、どんな人だって幸せになれるし、その権利があるんだから」
「ふーん⋯⋯なんか、お父さんも似たようなこと言ってたな」
「何?」
「いや⋯⋯僕からは言えない」
お菓子が焼けた頃、大ちゃんが遊びに来た。
大ちゃんは昔から、喧嘩が強くて人気があって勉強は苦手という、正統派ガキ大将で、翼とは正反対。
そんな大ちゃんが、昔と変わらず翼と過ごす時間を大切にしているのに対して、翼は最近、少しそっけない。
「翼、なんだか大ちゃんにそっけなくなった気がする。昔はあんなに仲が良かったのに⋯⋯」
「ああ、あれは好き避けってやつだろうね」
夫は言う。
「何それ?」
「好きだからこそ、避けてしまうってこと」
「そんなことってある?」
「それはそれでいいのよ。幸せって、恋愛とか結婚が全てじゃないもの。同性しか好きになれなくても、恋愛に興味がなくても、どんな人だって幸せになれるし、その権利があるんだから」
「ふーん⋯⋯なんか、お父さんも似たようなこと言ってたな」
「何?」
「いや⋯⋯僕からは言えない」
お菓子が焼けた頃、大ちゃんが遊びに来た。
大ちゃんは昔から、喧嘩が強くて人気があって勉強は苦手という、正統派ガキ大将で、翼とは正反対。
そんな大ちゃんが、昔と変わらず翼と過ごす時間を大切にしているのに対して、翼は最近、少しそっけない。
「翼、なんだか大ちゃんにそっけなくなった気がする。昔はあんなに仲が良かったのに⋯⋯」
「ああ、あれは好き避けってやつだろうね」
夫は言う。
「何それ?」
「好きだからこそ、避けてしまうってこと」
「そんなことってある?」



