奥さまが恋に落ちるまで

「そんなこと⋯⋯！私こそ、一度も共学に通ったことがないから、男友達も居ないし、就活もせずに花嫁修業だけしてきて、これが初めてのお見合いなんです。かなりの世間知らずだから、男の人にとっては退屈だと思います」
「今の時代、あなたほど無垢な女性は滅多にいません。いや！何も、女性は無垢であれという意味ではありませんよ。ただ、あなたのように見た目も中身も可愛らしい人とずっと一緒に暮らせたら、毎日とても幸せだろうなぁ⋯⋯」
　親から褒められたこともなく、特技もなければ、成績もイマイチで、ずっと自分に自信のなかった私は、そう言われてとても嬉しかったし、彼のことを素敵な人だとも思った。
　しかし、あまりにも男性に免疫がなさすぎて、片思いの経験すらない上に、結婚してすぐに妊娠したこともあり、二人きりで過ごした時間が殆どないまま、子供中心の生活になって今に至る。