あの夏、金木犀が揺れた

星空の下、金木犀の木に花びらが舞う。

琥太朗が私の手を握る。

「コハク…俺、ずっと言えなかった」

彼の声が、震える。

「小六で置いてって、ごめん。俺、笑う資格ねえって思ってた」

その言葉に、胸が熱くなる。

「でも、お前が俺を救ってくれた。倉庫で、木の下で、いつも」

彼の目が、私を捉える。



「コハク、俺、お前が好きだ。ずっと、好きだった」



心臓が、止まりそう。

涙が溢れる。


「琥太朗…私も、君が好き。ずっと、君だった」


私が呟くと、彼の顔が緩む。

初めて見る、昔の笑顔。

キラキラした目。

彼が私を抱きしめる。

「コハク、これからも、ずっと一緒にいよう」

花びらが舞う中、私は頷いた。

「うん、約束」

押し花とスケッチを手に、二人の未来が輝く。