あの夏、金木犀が揺れた

家に帰り、押し花とスケッチを机に並べた。

金木犀の花びらと、木の絵。

琥太朗の手の温もりが、胸に残る。

あの夜、君を救った。

今、君の笑顔が、私の心を救う。

スケッチに新たな線を引いた。

金木犀の木の下、手をつなぐ二人。

「琥太朗、この夏、君と一緒にいたい」

私は呟いた。

君の笑顔が、私の初恋の花。

この想いを、いつか、君に届ける。

窓の外、金木犀の香りが、夜を優しく包んだ。

あの香りが、私たちの未来を、そっと照らすと信じて。