あの夏、金木犀が揺れた

家に帰り、押し花とスケッチを机に並べた。

金木犀の花びらと、木の絵。

琥太朗の笑顔が、頭から離れない。

小四の出会い、小六の押し花、あの夜の涙。

君の笑顔が、私の初恋だ。

なのに、好きと言えない。

告白したら、友達も終わるかもしれない。

生徒会の責任、完璧な自分。

そんな仮面、君の前ではいらない。

私は小さな布袋を取り出した。

金木犀の花びらを入れたお守り。

君の笑顔を守りたい。

この想いを、伝えたい。

でも、怖い。

君の目を見るたび、心が震える。