◆駅前・夜
たくさんの人が行き交っている。
里奈「送っていただき、ありがとうございました」
宏人に向かって頭をぺこりと下げる里奈。
宏人「……べつに。年上としての責任を果たしただけだ」
里奈にお礼を言われると思っていなかったため、ひねくれた態度[ふんと鼻を鳴らして、顔を横に向ける]をとる宏人。
里奈「なるほど?」
宏人の言動が理解できず「?」が浮かぶ里奈。
里奈「でも先輩の理由はなんであれ、方向音痴の私は助かりましたので! では、お疲れ様でした」
里奈はもう一度、頭を下げる。くるりと背を宏人に向けて、駅の改札前に進む里奈。
見送る宏人。
◆駅の改札前付近
改札付近には「この改札口は==線ではありません」という案内がある。
里奈はポケットからスマホを取り出して電車の乗換案内のアプリを開き、タップ入力をする。
里奈モノ『どの路線に乗ればいいんだっけ…ここは二軒茶屋駅だから…』
男1「お姉さん、オレらと遊ばない?」
男2「帰るには早いよー」
酔っ払っている男2人組が里奈に近づき、声をかけてきた。
里奈モノ『うわ。お酒くさ!』
里奈「いえ、大丈夫です」
後退りしながら、断る里奈。
男2人組、ケラケラと笑いながらしつこくつきまとう。
男1「大丈夫って、オレらと遊ぶってコトー?」
男2「どこ行くー?」
里奈「あ、遊びませんっ」
里奈モノ『酔っ払いって、会話ができないー! もー! 気持ち悪いの落ち着いてたのに、臭いで逆戻りしてきたー!』
里奈はぶり返してきた気持ち悪さに胸をおさえる。
男2人組は里奈に手を伸ばす ※里奈は気付いていない。
宏人「なにしてんの」
宏人が里奈を引き寄せるように肩を抱く。
里奈「せ、先輩・・・?」
帰ったはずの宏人がいることに驚く里奈。
男1「なんだよ、お前」
男2「その子はオレらとあそー…」
絶対零度の営業スマイルをする宏人。
宏人の整った顔と圧に、男2組はフリーズして動きが止まる。
宏人「ーーで? なにか御用ですか?」
男1「なにもねぇよ」
男2「男がいるなら、最初からそう言えよ」
男2人組、逃げ台詞を残して、人混みの中に消える。
里奈「・・・えっと、先輩? なにか言い忘れたことでもありました?」
帰ったはずの宏人がいることが気になっていた里奈は、素朴な疑問として宏人にここにいる理由を確認する。
宏人「はぁ゛?」
状況を理解していない里奈にイラッとする宏人。
宏人の怒りの混じった声に、お礼を言っていなかったことに気づく里奈。
里奈「あ、すみません。困っていたので助かりました!」
バッと宏人から離れて、ぺこっと頭を下げる里奈。
宏人「・・・はぁ」
純粋にお礼を言われて、大きなため息をついた宏人。
宏人「なんかバカバカしくなる」 ※雑踏に紛れて里奈には聞こえない。
里奈「どうかしました?」
宏人の様子をうかがう里奈。
宏人「…なにモタモタしてるんだ。早く帰れよ。」
里奈「あーまだ都会の電車に慣れてなくて検索を…」
宏人「じゃあ家、どこ。ここからどれくらい?」
里奈「え? えーっと、亀合なので…約1時間です」
里奈は宏人の次から次へとされる質問を不思議に思いつつ、乗換案内アプリの検索結果を宏人に見せる。
スマホ画面には里奈の言うとおり[乗車時間56分、乗り換え2回]と表示されている。
宏人「・・・タクシーで帰る」
里奈のスマをを見たは宏人は眉間のシワを深くし、つぶやく。
里奈「はい? お疲れ様です?」
突然”タクシーで帰る”宣言をした宏人を不思議に思いながら、挨拶する里奈。
宏人「お前もタクシーに乗るんだ」
里奈「・・・えっ!? 私が!?!? あの”オトナの乗り物”に!?!?」
タクシーを使う=社会人のイメージがある里奈は瞳をキラキラと輝かせる。
そんな里奈の様子をじーっと見る宏人。
里奈「はっ! こほん。すみません。でも、私そんなお金ありませんので」
冷静になって、電車で帰ろうとする里奈。
後退りをする里奈の手を掴む宏人。
里奈「えっ」
ドキッとする里奈。
宏人「俺が出す」
里奈「え?」 ※理解できていない驚き
宏人「つべこべ言ってないで帰るぞ」
里奈「え!?」※宏人の言葉に驚く
連れ去られるような強引さで、ズルズルと宏人に連れていかれる里奈。
里奈モノ『ええぇぇぇぇぇ!?!?』※自分の状況に理解が追いつかない驚き
◆タクシーの車内
後部座席に宏人と里奈が座っている。
里奈、状況の気まずさより好奇心が勝ってしまい、窓から見える夜景が新鮮でワクワクしている。
宏人「子供かよ」
里奈「まだ未成年ですからね!」
ふふんと胸を張る里奈。
宏人「は?」※イラッとする。
里奈「と言うのは冗談です!」
調子に乗りすぎたと慌てる里奈。
里奈「田舎は車社会で、タクシーなんて滅多に乗らないんですよ。だからタクシーってドラマとかで見る、オトナの乗り物ってイメージがあって」
里奈は窓の夜景を眺めながら言葉を続ける。
里奈「それに車から見える景色は山や田んぼばっかりでしたが、ここは夜でもまぶしくて…光の残像が面白いです」
窓をカメラのファインダー”枠”として重ねてみる里奈。
里奈「窓っていう同じフレームの中でも、こうも違うんですね」
世界観に浸っていることに気づく里奈。
里奈モノ『はっ! テンションが上がって語ってしまった!!』※頬が紅潮する
宏人の反応が気になり、そっと様子を伺う里奈。
宏人「ふっ、変なやつ」
里奈の反対側で窓の外を見てる宏人がやわらかく笑う。
宏人に自分の言葉が伝わっていると感じて、ほっこりする里奈。
◆里奈の自宅付近の路地
里奈と宏人が横並びで歩いている。
里奈「先輩って実は世話焼きタイプなんですか?」
宏人「は?」
嫌そうな表情をする宏人。
宏人「ここまで来たついでだ」
数分前に起きた里奈との会話を思い出す宏人。
◆宏人の回想・タクシーから降りた直後
里奈「あの路地をまっすぐ歩けば帰れます」
街頭がほぼない暗い路地を指差す里奈。
◆現在・里奈の自宅付近の路地
宏人「目覚めが悪い」※独り言。里奈には聞こえないつぶやき。
口のへに字にしてにがい表情を浮かべる宏人。
里奈は宏人が道に迷うことを心配していると思い、安心させようと笑う。
里奈「私、そこまで方向音痴じゃないですよー。ほら、まっすぐだったでしょ?」
里奈が言葉の最後に指差した先に、年季が入ったアパートが建っている。
◆里奈の自宅アパート前
2階建アパート。年季が入っていて古い。
アパート前に立つ里奈と宏人。
宏人「お前、ここに住んでんのか…?」
里奈「はい! あそこの1階の角部屋です」
角部屋を指差す里奈。
宏人は戸惑いの表情を浮かべながら、里奈の顔を見る。
宏人「1階…?」
里奈「3000円、安かったので!」
お買い得品を見つけたと自慢げに指を3本を立てる里奈。
宏人「・・・」
頭痛がしているような仕草をする宏人。
里奈「どうしたんですか?」
宏人「まずお前は、部屋に入ったら、鍵を閉めろ」
里奈「なにを当たり前のーー…」
宏人「いいな?」
里奈の語尾に重ねるように、確認する宏人。
確認ではあるが、有無を言わせない圧迫感がある。
里奈「は、はい」
宏人に気圧されるように返事をする里奈。
◆里奈の自宅・玄関
ガチャンと鍵を閉める音。
里奈、ドアのチェーンをつける。
里奈モノ『先輩って意地悪な人だと思ってたけど、なんだかんだ言って優しい人なのかも。またいろいろ話す機会があったら、わかるかな?』
タクシーの車内からスマホで撮った夜景を眺めながら微笑む里奈。
◆大学・写真部の部室にて・日中
里奈モノ『とは、たしかに思ったけど』
里奈の目の前に藤代と宏人が立っている。
藤代「里奈くんの人物撮影のモデルに協力してくれるって!」
藤代の横に立つ宏人は無言&無表情。
里奈は宏人がなにを考えているのかわからず、困惑。
藤代「彼はモデル経験があるから、すごく勉強になると思うよ」
善意100パーセントの藤代のハッピースマイル。
里奈モノ『なんか、違うーーー!!!!』
目がぐるぐると渦巻き、脳内での叫びが止まらない里奈
たくさんの人が行き交っている。
里奈「送っていただき、ありがとうございました」
宏人に向かって頭をぺこりと下げる里奈。
宏人「……べつに。年上としての責任を果たしただけだ」
里奈にお礼を言われると思っていなかったため、ひねくれた態度[ふんと鼻を鳴らして、顔を横に向ける]をとる宏人。
里奈「なるほど?」
宏人の言動が理解できず「?」が浮かぶ里奈。
里奈「でも先輩の理由はなんであれ、方向音痴の私は助かりましたので! では、お疲れ様でした」
里奈はもう一度、頭を下げる。くるりと背を宏人に向けて、駅の改札前に進む里奈。
見送る宏人。
◆駅の改札前付近
改札付近には「この改札口は==線ではありません」という案内がある。
里奈はポケットからスマホを取り出して電車の乗換案内のアプリを開き、タップ入力をする。
里奈モノ『どの路線に乗ればいいんだっけ…ここは二軒茶屋駅だから…』
男1「お姉さん、オレらと遊ばない?」
男2「帰るには早いよー」
酔っ払っている男2人組が里奈に近づき、声をかけてきた。
里奈モノ『うわ。お酒くさ!』
里奈「いえ、大丈夫です」
後退りしながら、断る里奈。
男2人組、ケラケラと笑いながらしつこくつきまとう。
男1「大丈夫って、オレらと遊ぶってコトー?」
男2「どこ行くー?」
里奈「あ、遊びませんっ」
里奈モノ『酔っ払いって、会話ができないー! もー! 気持ち悪いの落ち着いてたのに、臭いで逆戻りしてきたー!』
里奈はぶり返してきた気持ち悪さに胸をおさえる。
男2人組は里奈に手を伸ばす ※里奈は気付いていない。
宏人「なにしてんの」
宏人が里奈を引き寄せるように肩を抱く。
里奈「せ、先輩・・・?」
帰ったはずの宏人がいることに驚く里奈。
男1「なんだよ、お前」
男2「その子はオレらとあそー…」
絶対零度の営業スマイルをする宏人。
宏人の整った顔と圧に、男2組はフリーズして動きが止まる。
宏人「ーーで? なにか御用ですか?」
男1「なにもねぇよ」
男2「男がいるなら、最初からそう言えよ」
男2人組、逃げ台詞を残して、人混みの中に消える。
里奈「・・・えっと、先輩? なにか言い忘れたことでもありました?」
帰ったはずの宏人がいることが気になっていた里奈は、素朴な疑問として宏人にここにいる理由を確認する。
宏人「はぁ゛?」
状況を理解していない里奈にイラッとする宏人。
宏人の怒りの混じった声に、お礼を言っていなかったことに気づく里奈。
里奈「あ、すみません。困っていたので助かりました!」
バッと宏人から離れて、ぺこっと頭を下げる里奈。
宏人「・・・はぁ」
純粋にお礼を言われて、大きなため息をついた宏人。
宏人「なんかバカバカしくなる」 ※雑踏に紛れて里奈には聞こえない。
里奈「どうかしました?」
宏人の様子をうかがう里奈。
宏人「…なにモタモタしてるんだ。早く帰れよ。」
里奈「あーまだ都会の電車に慣れてなくて検索を…」
宏人「じゃあ家、どこ。ここからどれくらい?」
里奈「え? えーっと、亀合なので…約1時間です」
里奈は宏人の次から次へとされる質問を不思議に思いつつ、乗換案内アプリの検索結果を宏人に見せる。
スマホ画面には里奈の言うとおり[乗車時間56分、乗り換え2回]と表示されている。
宏人「・・・タクシーで帰る」
里奈のスマをを見たは宏人は眉間のシワを深くし、つぶやく。
里奈「はい? お疲れ様です?」
突然”タクシーで帰る”宣言をした宏人を不思議に思いながら、挨拶する里奈。
宏人「お前もタクシーに乗るんだ」
里奈「・・・えっ!? 私が!?!? あの”オトナの乗り物”に!?!?」
タクシーを使う=社会人のイメージがある里奈は瞳をキラキラと輝かせる。
そんな里奈の様子をじーっと見る宏人。
里奈「はっ! こほん。すみません。でも、私そんなお金ありませんので」
冷静になって、電車で帰ろうとする里奈。
後退りをする里奈の手を掴む宏人。
里奈「えっ」
ドキッとする里奈。
宏人「俺が出す」
里奈「え?」 ※理解できていない驚き
宏人「つべこべ言ってないで帰るぞ」
里奈「え!?」※宏人の言葉に驚く
連れ去られるような強引さで、ズルズルと宏人に連れていかれる里奈。
里奈モノ『ええぇぇぇぇぇ!?!?』※自分の状況に理解が追いつかない驚き
◆タクシーの車内
後部座席に宏人と里奈が座っている。
里奈、状況の気まずさより好奇心が勝ってしまい、窓から見える夜景が新鮮でワクワクしている。
宏人「子供かよ」
里奈「まだ未成年ですからね!」
ふふんと胸を張る里奈。
宏人「は?」※イラッとする。
里奈「と言うのは冗談です!」
調子に乗りすぎたと慌てる里奈。
里奈「田舎は車社会で、タクシーなんて滅多に乗らないんですよ。だからタクシーってドラマとかで見る、オトナの乗り物ってイメージがあって」
里奈は窓の夜景を眺めながら言葉を続ける。
里奈「それに車から見える景色は山や田んぼばっかりでしたが、ここは夜でもまぶしくて…光の残像が面白いです」
窓をカメラのファインダー”枠”として重ねてみる里奈。
里奈「窓っていう同じフレームの中でも、こうも違うんですね」
世界観に浸っていることに気づく里奈。
里奈モノ『はっ! テンションが上がって語ってしまった!!』※頬が紅潮する
宏人の反応が気になり、そっと様子を伺う里奈。
宏人「ふっ、変なやつ」
里奈の反対側で窓の外を見てる宏人がやわらかく笑う。
宏人に自分の言葉が伝わっていると感じて、ほっこりする里奈。
◆里奈の自宅付近の路地
里奈と宏人が横並びで歩いている。
里奈「先輩って実は世話焼きタイプなんですか?」
宏人「は?」
嫌そうな表情をする宏人。
宏人「ここまで来たついでだ」
数分前に起きた里奈との会話を思い出す宏人。
◆宏人の回想・タクシーから降りた直後
里奈「あの路地をまっすぐ歩けば帰れます」
街頭がほぼない暗い路地を指差す里奈。
◆現在・里奈の自宅付近の路地
宏人「目覚めが悪い」※独り言。里奈には聞こえないつぶやき。
口のへに字にしてにがい表情を浮かべる宏人。
里奈は宏人が道に迷うことを心配していると思い、安心させようと笑う。
里奈「私、そこまで方向音痴じゃないですよー。ほら、まっすぐだったでしょ?」
里奈が言葉の最後に指差した先に、年季が入ったアパートが建っている。
◆里奈の自宅アパート前
2階建アパート。年季が入っていて古い。
アパート前に立つ里奈と宏人。
宏人「お前、ここに住んでんのか…?」
里奈「はい! あそこの1階の角部屋です」
角部屋を指差す里奈。
宏人は戸惑いの表情を浮かべながら、里奈の顔を見る。
宏人「1階…?」
里奈「3000円、安かったので!」
お買い得品を見つけたと自慢げに指を3本を立てる里奈。
宏人「・・・」
頭痛がしているような仕草をする宏人。
里奈「どうしたんですか?」
宏人「まずお前は、部屋に入ったら、鍵を閉めろ」
里奈「なにを当たり前のーー…」
宏人「いいな?」
里奈の語尾に重ねるように、確認する宏人。
確認ではあるが、有無を言わせない圧迫感がある。
里奈「は、はい」
宏人に気圧されるように返事をする里奈。
◆里奈の自宅・玄関
ガチャンと鍵を閉める音。
里奈、ドアのチェーンをつける。
里奈モノ『先輩って意地悪な人だと思ってたけど、なんだかんだ言って優しい人なのかも。またいろいろ話す機会があったら、わかるかな?』
タクシーの車内からスマホで撮った夜景を眺めながら微笑む里奈。
◆大学・写真部の部室にて・日中
里奈モノ『とは、たしかに思ったけど』
里奈の目の前に藤代と宏人が立っている。
藤代「里奈くんの人物撮影のモデルに協力してくれるって!」
藤代の横に立つ宏人は無言&無表情。
里奈は宏人がなにを考えているのかわからず、困惑。
藤代「彼はモデル経験があるから、すごく勉強になると思うよ」
善意100パーセントの藤代のハッピースマイル。
里奈モノ『なんか、違うーーー!!!!』
目がぐるぐると渦巻き、脳内での叫びが止まらない里奈


