お花見の翌日。
いつも通り研究室へ向かうと、アルトと北斗さんが話に花を咲かせていた。
「それでね、先生のサンドイッチがすっごく美味しかったんだ〜!写真見る?」
「是非見せて欲しいな。お、これは美味しそうだね。今度僕も食べてみたいよ。」
どうやら、昨日の話をしているらしい。
「あっ!先生、おはよ♪」
「おはようアルト。北斗さんもおはようございます。」
「おはよう。今日もよろしくね。それじゃあ僕は、自分の研究室に戻るよ。」
「北斗!ちょっと待ってー!北斗に渡したいものがあるんだ♪」
アルトはポケットから栞を取り出すと、北斗さんの手に乗せる。
昨日の桜は、アルトによって綺麗な栞に生まれ変わっていた。
「すごく綺麗だね。桜かい?」
「うん♪北斗にも桜、お裾分けしたくて!これならずっと眺めていられるでしょ?日頃の感謝の気持ちを込めて、プレゼント♪」
「!ありがとう、アルト。大切にするよ。」
北斗さんは一瞬驚いた顔をした後、すぐに柔らかく嬉しそうに笑った。
「どういたしまして♪」
北斗さんは大事そうに栞を両手で包み込むと、自室へと戻っていった。
「アルト、喜んでもらえてよかったね!」
「えへへ♪そうだ、実は先生にも作ってて…、はい、どうぞ!」
「私にも?ありがとう!」
両手を差し出すと、桜の栞が優しく乗せられた。
「先生、また来年も、僕とお花見に行ってくれる?」
「もちろん!一緒に行こう!」
「やったー♪先生大好き!」
約束をする、共に過ごす未来がある。
それが何より嬉しい。
この先もアルトとたくさん思い出を作っていこう。
幸せな気持ちのまま、アルトの頭を撫でた。

おわり