これは、人懐っこいアルトが義体を得た後の話_

最近は晴れの日が多く、ぽかぽかと過ごしやすい。
近くにある公園のベンチに座り、アルトと日向ぼっこしながらお話するのが日課になっていた。
「んー、今日は鮭のおにぎりかぁ。てことは、しょっぱいってことだよね!」
アルトは食べ物を食べれるようになったが、残念ながら味覚はない。
その為、私がどんな味なのかアルトに伝えるようになった。
ちなみに鮭は、鮭のイラストに塩の山のイラストを添えたものを見せた。
塩=しょっぱい、しょっぱいはこういう顔になる、そうやってイメージしやすいように、伝えるときは心掛けている。
「そうそう!しょっぱい、だよ!アルトの為に心を込めて作りましたー!」
手でおにぎりを握るジェスチャーをしてみせると、アルトは嬉しそうに笑い、拍手した。
「先生の気持ちがこもったおにぎりかー!だからこんなに美味しいんだね♪」
大きな口で頬張るアルトを見ていると、しあわせな気持ちになる。
私もアルトの隣でおかかおにぎりを食べ始めた。
「そうだ!先生!この前雑誌で見たんだけど、桜が綺麗な公園があってね、ピクニックにオススメって書いてあったんだー♪僕、先生と一緒に行きたいなって。ダメ?」
上目遣いで見つめてくるアルトが可愛すぎて、私は勢い良く頷いてしまう。
「うん!是非!誘ってくれてありがとう。」
こうして、ピクニックに行くことに決めた私達は、準備を始めるのだった。