共済課には爽やか王子が1人いて助かってますが?

(大学時代とは全然違う。そりゃ、当たり前か。社会人なんて……)


 心の中でそう呟きながら、上司に渡された書類を一枚一枚ファイルに丁寧に落とさないように挟んでいく。


(家に帰ったら、ゆっくり休もう)


 そんなことを思い、書類がしまい終わると、自分のデスクに戻って、ずっと新人に渡された共済の説明書を一日中読んでいた。


 社員たちにお茶を出し、掛かってきた電話の用件と名前を聞き、上司に代わってもらう。今日一日はそれだけで終わってしまった。