「・・・人間か」

昴が独り言をつぶやく。
私には、聞こえないぐらいの声で。

「じゃあ、いくつか質問をするよ。
 君の名前は何?」

そんなの・・・。
・・・あ、あれ。
私の名前・・・?

「ふーん。思い出せないと。
 結構重症だよ」

昴は、部屋を歩き回り考えていた。

「君は、今自分で殻をつくって閉じこもってる。
 だから・・・」

昴は足を止め、私をまっすぐ見た。

「君自身の力で殻を破ってもらうよ」

そう言った昴の顔は、真剣そのものだった。