「僕は殻の外を見せてあげた」

そう、昴が言うと昴の背後に保育園の光景が映し出された。保育園。遊具。卒園式の札。先生や園児たち。

・・・あれ?
なんか、おかしい気がするな。
・・・なんでだろう?

考える間もなく光景は消える。

「君にとっての殻の外・・・つまり本当の君だった頃に起こった事は見せた。ちょっとだけだけれども、それでも君には不思議なことがあったでしょう?」

たしかにあった。
沙依の事。危ない閃光。不可解な光景。

「でもね。君を救うための最初の段階は・・・君自身がすることだ」

・・・なっ、何!?
私は、なにもできないのに・・・。

「そういう考えを持ってたらだめだろうね。
 ついでに言っておくけど、僕の言ってることは、僕についてくることが前提の話。
 それが嫌なら、最初からこの話は無かったことにも出来る。
 それをふまえて聞いてくれる?」

まぁ、それはなんとなくわかってたから驚きはしないけど・・・。
とりあえずコクコクとうなずく。

「それで、最初の段階ってのは。
 此処から出ること」

此処?

「そう、此処。この場所。
 つまり、この部屋から出ろって事。
 脱☆引きこもり」

いや、可愛く☆付けてもらっても困るのですが・・・。

「まぁ、そういうわけだから。
 期限は明後日の夜まで。
 じゃあね」

そう言って、昴は現れたときと同じように、
突然消えた。