綾人は学校の帰り道、跨道橋を歩いていた。
下には国道Y号線が通っており、車が多く行き交う。
右手には8階建ての市立病院が見える。
さながらコロッセオが現代に現れたような巨大な建物で、橋の上から見ても高く美しい。
綾人の住むこの付近は丘の上の一等地だ。
新築の家もあれば、古い家もある。
しかし、どの家も裕福さという統一感がある。丘を下れば、大型ショッピングセンターや融合施設があり、利便性が地方の割にはよいと定評がある。
この橋からは、夕日がすごく綺麗に見える。
高校3年になり部活を引退し、夕日が見える時間に家に帰れる。
夕日が遠い山並みに隠れていくのを見る。
最近、雨ばかり降っていたのに、今日はカラッと晴れたため、夕日が眩しい。
ふと、前を見ると、橋の終わりがけの坂にいる1人の女性が、きっと手を滑らして落としてしまったのだろう、散らばった買い物をかがんで拾っていた。
綾人は、近づき足元に落ちていた豆腐のパックを拾って渡した。
