春風と落雷



葉山綾人。彼はこの物語の主人公だ。
彼がどんな男かと聞くと、彼を知るものたちはこう言う。


葉山くんって、あの確か背が高くてかっこいい人でしょ。私の友達でも葉山くんのこと好きな子いるよ。まあ、人気だよね。
葉山?図書委員一緒なんだよね。
やさしいし、いいやつだよ。
なんか、通り過ぎた後、いい匂いするよね。
何それ!あんた、嗅いでんの?
ち、ちがうって!


女好きのするたれ気味の二重の目、鼻は程よく高い。誰にでも優しくて優等生。話しかければ爽やかに笑う。そんな彼を嫌いな人はいないだろう。

しかし、本当の彼を知ってる人はどれほどいるだろう。


彼は本当の自分を誰にも決して見せず自分の殻にこもっていた。たった1人を除いて。


そんな、葉山綾人の恋の話だ。