四月の終わり。病棟の空気がどこか、張り詰めていた。
あきらの容態が急変した、という報せを受けたのは、その日の朝だった。
咲希が病室に駆け込んだとき、あきらは酸素マスクをつけてベッドに横たわっていた。顔色は悪く、細くなった身体が痛々しかった。
それでも、彼は目で咲希を探していた。
「……あきら、来たよ。ここにいる」
あきらの唇が、わずかに動いた。
「……き……」
「聞こえるよ。大丈夫」
「……桜、……また……」
「うん。来年も、一緒に桜見よう。絶対」
あきらの目に、涙が浮かんだ。それは感謝のようでもあり、未練のようでもあった。
「……笑って、て……ほし……」
彼の最後の言葉は、風に消えるようにして届かなかった。
静かに目を閉じた彼に向かって、咲希は泣きながら微笑んだ。
「……ありがとう、あきら。私、生きるよ。君の分まで」
窓の外では、今年最後の桜が散っていた。
あきらの容態が急変した、という報せを受けたのは、その日の朝だった。
咲希が病室に駆け込んだとき、あきらは酸素マスクをつけてベッドに横たわっていた。顔色は悪く、細くなった身体が痛々しかった。
それでも、彼は目で咲希を探していた。
「……あきら、来たよ。ここにいる」
あきらの唇が、わずかに動いた。
「……き……」
「聞こえるよ。大丈夫」
「……桜、……また……」
「うん。来年も、一緒に桜見よう。絶対」
あきらの目に、涙が浮かんだ。それは感謝のようでもあり、未練のようでもあった。
「……笑って、て……ほし……」
彼の最後の言葉は、風に消えるようにして届かなかった。
静かに目を閉じた彼に向かって、咲希は泣きながら微笑んだ。
「……ありがとう、あきら。私、生きるよ。君の分まで」
窓の外では、今年最後の桜が散っていた。


