記憶の中で恋をしていた


なんだろう、親しくなりたくない。

顔は確かにタイプだし、優しいとは思う。

だけど、記憶のどこかにひっかかる物がある。

靄がかかって思い出せないけど。


「しばらくは、ごめんなさい」


そう告げた。


1週間ほど大学は休んで様子を見た。
雄輝とは大体同じ授業を取っているし、各授業に知り合いがいるから何とかなる。

よく知らない人との生活は気を遣う。

お風呂もトイレもキッチンも、寛ぐ時間も何となく。

ましてや、彼からは好意を向けられている。

一方的に想いをぶつけられるのは、あまり良い気はしないのだと気付いた。


大学復帰すると、雄輝が色々授業内容を教えてくれる。


「彼氏に聞けばいいのに」

「…やだよ」

「なんで」

「なんか、一緒にいるとモヤモヤする」

「はあ?」


雄輝も知らないらしい。私と彼に何があったのか。

大学にいる間は、雄輝と楽しく過ごせていた。高校は別だったものの、中学から一緒で気を遣わず話せて、家での気詰まりが嘘みたいだった。