溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。

 6


 青年は、私の右腕を掴んできた。

 「……つっ……⁉︎」

  かなりの力強さに、思わず呻き顔を顰めてしまう。

 「さあ、行きましょう!」

  そう言うと、自分と一緒に起き上がらせてしまう。

 「……は、離してください!」

  強引なそぶりに恐怖を感じ、どうにか払おうと身じろぐ。

  これはまずい!

  この場から逃げないと、非常にまずい気がする!

  本能的にそんなこと思えるし、払うしかない。

  そう思うのに、青年の力は強い。

  このままずるずると、小屋の方へ引き摺られてしまった。

 「……⁉︎……」

  目に飛び込んできた惨状。

  呆気としてしまう。

  青年とは違って若く、私より少し上に見える。

  身なりもいちだんと豪奢。

  最高級の生地で作られた、膝裏近くまである暗紫色の装束を身につけている。

  だが、それは無残にも上衣はボロボロに破れて、腰帯まで垂れ下がっていた。

  暗黒色の靄が、少年のすべてを薄く包んでいる。

  青年同様の浅黒い肌で色で、細身ながらも鍛え込まれたしなやかな上体。

  強靭な筋肉が浮き出ているが、細かく震わせていた。

 青年は、私の右腕を掴んできた。

 「……つっ……⁉︎」

  かなりの力強さに、思わず呻き顔を顰めてしまう。

 「さあ、行きましょう!」

  そう言うと、自分と一緒に起き上がらせてしまう。

 「……は、離してください!」

  強引なそぶりに恐怖を感じ、どうにか払おうと身じろぐ。

  これはまずい!

  この場から逃げないと、非常にまずい気がする!

  本能的にそんなこと思えるし、払うしかない。

  そう思うのに、青年の力は強い。

  このままずるずると、小屋の方へ引き摺られてしまった。

 「……⁉︎……」

  目に飛び込んできた惨状。

  呆気としてしまう。

  青年とは違って若く、私より少し上に見える。

  身なりもいちだんと豪奢。

  最高級の生地で作られた、膝裏近くまである暗紫色の装束を身につけている。

  だが、それは無残にも上衣はボロボロに破れて、腰帯まで垂れ下がっていた。

  暗黒色の靄が、少年のすべてを薄く包んでいる。

  青年同様の浅黒い肌で色で、細身ながらも鍛え込まれたしなやかな上体。

  強靭な筋肉が浮き出ているが、細かく震わせていた。